掛け軸や表具の作品修理
掛け軸を修理する理由は、主に以下のようなものがあります。
鑑賞・・・修理をすることで、掛け軸を再び鑑賞できるようにするためです。
保存・・・傷んだまま放置せず、手遅れになる前に修理を行うことで、症状の進行を抑えます。
継承・・・修理を行うことでその伝統を次世代に伝えることができます。
修理の際は、専門の技術者に依頼することが一般的です。掛け軸の素材や技法に合わせて、最適な方法で修理を施します。
掛け軸の修理(修復)
修理の作業内容
修理前後のイメージ
作品別の修理例
作品は傷みがなく、掛け軸の一部だけが損傷している場合
主な掛け軸の種類
表具作品の修復と表装
表具とは何か?
伝統的な和の表具には、主に「掛け軸」「和額」「巻物」「屏風」などがあります。身近では「襖」も含まれます。
表具修理の内容は?
これらの作品は、和紙や絹でできており、時間が経つと傷んでしまいます。そこで、傷んだ部分を修復し、保存性を向上する作業が行われます。
表具修理だけでなく、どんな作業を行うのか?
修理作業だけでなく、環境に合わせて作品を鑑賞、保管するための「表装」も行います。表装は、これらの伝統的な工芸品を鑑賞し、後世に伝えるために欠かせない作業です。
修理した後に表装を変更
例えば和室から洋室に変更すると、床の間・欄間・襖絵等がなくなり、飾る場所が失われることがあります。
そのような場合には、表装形式を変更して保存することができます。修復した作品を、利用する環境に合わせて表装します。
例: 屏風から掛け軸
掛け軸から額装
掛け軸から画帖等
襖絵から額装
表具作品のみ修理
和風建築に合った和額や屏風を処分する場合等、作品を取り外して修理だけを行います。
額 作品の修理
扁額・欄間額の作品を修理保存します。
エアコンの影響や劣化から、作品に亀裂がは入る時は緊急です。
作品のみ修復して、額装はご自分でご用意されるもこと可能です。
和紙作品の修理保存
表装作業の基本に裏打ちという技法があります。和紙と糊で作品を補強します。応用として和紙・絹作品の修理が可能です。
古文書の修理
和紙史料の虫損や劣化を解消して、閲覧・保存します。
例:和綴じ本・古地図・経本
修理対象品
個人様や寺院様が所有する、傷んでいる掛け軸が対象です。
重要美術品である場合や、販売目的の高級品である場合は、修理の対象外となります。
修理後の雰囲気
復元(絵や字が蘇ったように奇麗になる)修理ではなく、劇的な変化は期待できません。
保存を優先し、時代を感じさせる雰囲気を残すアプローチを取ります。
修理期間
現在約3カ月後です。(2025年 冬季)
損傷状態や大きさにより,長くなる場合があります。またお急ぎの場合は、ご相談に応じます。
修理品の保証
明確な不具合が発生した場合、商品の納品後 3か月以内 であれば無償で修理いたします。
ただし、長期間の乾燥状態での放置など、環境により商品の状態が変わった場合は、この対応が適用されません。
詳細については利用規約をご覧ください。
表具師による歴史を有する掛け軸の修理・表装は、伝統技術と科学技術の調和によって現代に受け継がれています。
近年は大量生産や機械による表装も存在しますが、後世に残す作品には伝統的な表装が求められます。
床の間の減少やライフスタイルの変化により、掛け軸の需要は以前より減少していますが、世代交代が進む中で、先人が残した作品を修理して保存する動きを感じます。
掛け軸修理の需要は依然として数多くありますが、どこに依頼すれば良いか分からない方も多いため、2004年からHPでPRを行っています。岡山近隣県を中心に、全国からの配送便で修理のご依頼を受けており、多くのお客様に支えられています。
掛け軸の伝統を守りながら、失われる前に修理を行うお手伝いをさせていただいております。