表装形式を変更した修理例
掛け軸・欄間額・屏風を現在の住居に合うように、表装形式を変えて保存することが可能です。
現在の住居の変化により、床の間がない場合や、額の方が扱いやすいことで、掛け軸の形式を変更することも可能です。
方法として、掛け軸を解体して作品を取り出して修理します。その後に表装形式を変更して仕立てます。
表装形式変更例 1 屏風から掛け軸
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修理前 屏風の状態
屏風は大きな展示場所を要します。現在の住宅事情や転居先の制限で、屏風からコンパクトに収納できる掛け軸に表装替えを行うことがあります。
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屏風の状態
蝶番(ちょうつがい)と呼ばれる、開閉の根元が破損した場合は、根本的に修理が必要です。解体して、一から組み直すことから、費用面も大きくなります。
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修理後 掛け軸に表装
屏風に貼り付けていた作品を、取り出して掛け軸に表装できるように修理を行います。作品を修理した後、掛け軸に表装します。屏風に貼られた作品の状態により、掛け軸に表装できない場合があります。
参考価格
作品修理費 | 修理工数 ★★★ 2枚分 | 60,000円 |
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掛け軸表装費 | 袋表装 2幅分 | 100,000円 |
合計 | 2点まとめて | 160,000円位 |
表装形式変更例 2 襖絵から掛け軸に
本来は地袋と呼ばれます襖絵でした。襖絵は、寸法に合ったレールがある場所に収まりますが、その場所が解体等により無くなる場合は機能としては失います。そのまま襖絵の状態より、表装形式を変更た方が保存しやすい場合もあります。
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襖絵 修理前
襖の引手(取っ手)があります。
そのままでは掛け軸には表装できません。 -
襖絵 修理中
引手を取り外して、跡に和紙を補填しました。
引手跡も、従来は襖絵であったことの名残になります。 -
修理後
裏面の記録を表面に貼りこみました。
修理後の襖絵全体

左右に分断されていた襖絵を、真ん中で付け合わせました。
絵が続いているので、違和感はありません。
また引手の穴は塞いで、違和感をなくすために補彩しました。
参考価格
作品修理費 | 修理工数 ★★★★ | 40,000円 |
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掛け軸表装費 | 袋表装 大型 | 80,000円 |
合計 | 120,000円位 |