撮影環境やご覧になる出力画面の設定などにより、実物の色合いと多少異なる場合がございます。
(伝)松花堂昭乗・・・江戸時代の僧
損傷度 ★ ★ 中度
展示は可能
裂地の劣化
紙(揉み紙)の損傷
損傷度 ★ ★ 中度
強い横折れの発生
前回の修理時の損傷
過去の水損
表装裂が文字に被さっている
一文字の金色は退色
中廻しは綾織とみられる
天地は揉み紙
保存性は向上
被さっていた文字があったので、和紙を継ぎ足して余白をつくった。
青色の部分の裂は再使用
一文字と揉み紙は新調
【書状の寸法】 タテ 29㎝ ヨコ 44㎝
【書状の状態】 水シミ・劣化損傷。また過去の修理による損傷もあります。
【掛け軸の寸法】 タテ 120㎝ ヨコ 51㎝
【掛け軸の状態】 一部紙表装による、損傷と劣化があります。
墨部分を強化 膠(ニカワ)水溶液を墨部分に塗布して強化します。
裏打ち和紙を剥がして新しく裏打ち補強旧裏打ち和紙を時間をかけて剥がします。前回の修理で、部分的に和紙に厚みがない箇所に和紙で均一に補填します。 補彩補填した部分に、色を入れて周囲との違和感を調整します。
掛け軸を解体して、書を取り出した状態
下からライトを照射して、通常では見えない箇所を確認
左部分に、和紙で補填した箇所が見られます。
時代を経過した雰囲気を損なうことはなく、保存性を向上
旧掛け軸の中廻し部分に使用されていた裂(青色)は、雰囲気を残すために必要と判断。
洗浄した後に、裏打ち和紙を取り替えて改善しました。
但し、裂の劣化で端の部分までは、活かすことができませんので、寸法を少し縮小します。
また揉み紙は再使用できないので、新調しました。
作品の損傷度合い、大きさ、表装材料などによって価格は変動いたします。別途、保存箱が加算される場合がございます。
書 修理工数 ★★★☆☆ 30,000円
掛け軸表装費 三段表装(揉み紙) 40,000円
合計費用 70,000円
撮影環境やご覧になる出力画面の設定などにより、実物の色合いと多少異なる場合がございます。
池田斉敏・・・江戸時代後期の大名。備前岡山藩の第7代藩主
損傷度 ★ ★ 中
展示はやや困難
掛け軸全体の糊離れ
損傷度 ★ ★ 中
所々に糊離れ
鑑賞を妨げるシミ
古い書に合った掛け軸
シミは余り変化なし
保存性は向上
【書の寸法】 タテ 123㎝ ヨコ 31㎝
【書の状態】 絹に墨で書かれている。シミ(変色)がある。糊浮きや横折れがある。
【掛け軸の寸法】 タテ 186㎝ ヨコ 43㎝
【掛け軸の状態】 表装裂の劣化や糊離れ。
【修理方針】 シミ落としを行いますが、歴史史料のため、薬品等過度な洗浄までは行いません。水のみで丹念に行います。掛け軸自体は、表装裂の再使用ができないために新調します。保存箱がありますので、収納できるよう調整。
文字と落款部分に、膠(ニカワ)水溶液を塗って強化します。今後の作業で、水を使用することになります。その際に、墨が水分と反応して文字が滲む場合がありますので、予防の意味で行います。
裏打ち和紙を剥がす
旧裏打ち和紙を剥がします。糊浮き(糊剥がれ)から、簡単に剥がれます。
絹にシミがある場合、水の洗浄では落ちないことが多いと感じます。よって超音波によって洗浄しました。しかし、期間と回数を重ねても殆ど変化はありませんでした。歴史史料でもあるので、薬品漂白は控えました。
絹に書かれていて、目立つシミがある
カビか付着物かは不明
水洗浄では、ほぼ変化なし
糊の接着力がなく、裏打ち和紙と剥がれた状態
横折れ
糊離れや横折れの改善
大名の書の雰囲気に合うように表装裂を選択し、表装します。
周囲の裂は正絹緞子で、宝尽くし模様があります。
軸首は、多少の亀裂や汚れがあっても、再使用しました。
また掛け軸の保存箱があるので、掛け軸寸法を箱に合わせて調整しました。
掛け軸修理で、保存条件も変化することもあります。長い期間、掛け軸と一緒に残ってきているので、なるべく再使用したいものです。
作品の損傷度合い、大きさ、表装材料などによって価格は変動いたします。別途、保存箱が加算される場合がございます。
書 修理工数 ★★☆☆☆ 20,000円
掛け軸表装費 袋表装 60,000円
合計費用 80,000円
撮影環境やご覧になる出力画面の設定などにより、実物の色合いと多少異なる場合がございます。また、情報保護の観点から、一部画像を加工して掲載しております。
細川宗孝・・・江戸時代中期の大名。肥後国熊本藩5代藩主
損傷度 ★ 軽
展示は十分可能
裂地の劣化
品格と釣り合っていない表装材料
損傷度 ★ 軽
書状が固く、横折れが発生
茶色いシミが全体に発生
細かい横折れが多数
古い書に合った掛け軸
シミは余り変化なし
横折れ改善
書状の固さを軽減
保存性は向上
横折れは改善
【書状の寸法】 タテ 41㎝ ヨコ 55㎝
【書状の状態】 茶色のシミが本紙(作品)に広がっています。おそらく、掛け軸の裏側に使用している和紙から発生しているので、それが表面に転移したようです。
【掛け軸の寸法】 タテ 141㎝ ヨコ 66㎝
【掛け軸の状態】 掛け軸全体にシミが広がっています。
【修理方針】 シミ落としを行いますが、歴史史料でもあるため、薬品等過度な洗浄までは行いません。掛け軸自体は、表装裂が化学繊維で劣化が早く進んでいました。正絹裂の材料で、新しく仕立てます。
文字部分に、膠(ニカワ)水溶液を塗って強化します。今後の作業は、水を使うことになります。墨が水分と反応して文字が滲む場合がありますので、予防の意味で行います。
裏打ち和紙を取り替えます。
書状の場合は、書かれた和紙が分厚いことがよくあります。
分厚い和紙ですと、巻く時に固くて巻けないことや、巻いても横折れが発生します。
今回の修理で、なるべく裏打ち和紙の厚さを調整します。
また横折れも多く発生していたので、処置を行いました。
新しく絹を補填した部分は白く、周囲と違和感があるので、補彩をおこない緩和した。
形式は三段表装書状が分厚いので、裏打ち和紙で掛け軸の厚さをなるべく調整することで掛け軸に仕立てます。
また熊本藩主細川宗孝公に因んで、九曜紋を掛け軸に取り入れました。
金色の輝きを抑えた、時代を経過した資料の雰囲気に合う金襴です。 書状は分厚い和紙に書かれていることが多く、掛け軸に表装すると巻き難くなります。 そこで、保存する場合には、太巻き芯棒で大きく巻いて保存することが望ましいです。
作品の損傷度合い、大きさ、表装材料などによって価格は変動いたします。別途、保存箱が加算される場合がございます。
書状 修理工数 ★★☆☆☆ 20,000円
掛け軸表装費 三段表装(やや幅広) 70,000円
合計費用 90,000円
撮影環境やご覧になる出力画面の設定などにより、実物の色合いと多少異なる場合がございます。
細川利和・・・江戸時代の大名、書家
【書の寸法】 タテ 110㎝ ヨコ 28㎝
【書の状態】 横折れや、糊浮きが見られますが、損傷度は軽度です。
【掛け軸の寸法】 タテ 183㎝ ヨコ 38.5㎝
【掛け軸の状態】 掛け軸全体の劣化と軽い傷み
【修理方針】 掛け軸の形式を変更して、書作品の寿命も延ばします。
書作品の品格や風合いから、似合うような表装裂を取り合わせます。
裏打ち和紙の取り換え
表装裂をつないで、掛け軸の形にします。
掛け軸裏面に宇陀紙を裏打ちします。
その後に長期乾燥
作品の損傷度合い、大きさ、表装材料などによって価格は変動いたします。別途、保存箱が加算される場合がございます。
書 修理工数 ★★☆☆☆ 20,000円
掛け軸表装費 三段表装(やや小幅) 55,000円
合計費用 75,000円
多少のシミで、鑑賞の妨げにならない程度でしたら、無理に落とすことはしないと思われます。
妨げがある場合は、部分的に薬品を使用しますが、完全には落ちない場合が多いです。