曼荼羅本尊 掛け軸の修理

古い日蓮曼荼羅 名号 掛け軸の修理例

寺院や御家に伝わる傷んだ曼荼羅本尊を修理して後世に伝えます。真筆のご本尊は品格から正絹製の表装がよく合います。

曼荼羅本尊 掛け軸修理の項目

修理例1 日蓮曼荼羅 掛け軸

修理例2 日蓮曼荼羅 掛け軸 

修理例3 日蓮曼荼羅 額装 

修理例4 名号 掛け軸

よくある質問


修理例1 日蓮曼荼羅 掛け軸

撮影環境や出力画面により、実物と多少の色合いの変化があります。

 

 

曼荼羅掛け軸の調査と修理方針

【曼荼羅の寸法】 タテ 28.5㎝ ヨコ 20.5㎝

【曼荼羅の状態】 古い曼荼羅ですので、過去に何度かは修理されていると予想します。曼荼羅の右横部分の文字線が裁断されているので、過去に一度は修理されています。

【掛け軸の寸法】 タテ 80㎝  ヨコ 31㎝

【掛け軸の状態】 片方の軸首もなく、全体にも傷みあり。また掛け軸の裏面に記録(裏書き)があります。

【修理方針】 曼荼羅自体の保存性を向上。裏書き部分は曼荼羅掛け軸の歴史から、修理して元のように貼り戻します。

*裏書き・・・書画の掛け軸の裏に、表にあたるものの証明などの文字を書くこと。書い書画の場合は、それが真物であることを保証する詞を書くこと。

修理作業への準備

墨部分に、膠(ニカワ)水溶液を塗って強化します。

表面に加えて、裏面の裏書き部分も同様に強化します。

こうすることで、洗浄で水による滲みを少しでも防止できます。

 

この後は、裏書き部分の和紙を取り出して、裏打ちを行います。裏書き部分も、曼荼羅本尊の一部になります。

 

掛け軸から曼荼羅を取り出す

掛け軸を解体して、曼荼羅と裏書き部分を取り外します。

裏書きは、一番外側の和紙に書かれています。

 

掛け軸の裏面に水分を与えて、重なっている裏打ち和紙を外側から剥がしていきます。

また剥がしていく途中で、過去の補修痕を見つけることができ、今回の修理の新たな情報を得ることもできます。

 

主な曼荼羅本尊の修理作業

 

修理過程の変化

 

掛け軸に表装

 

新しい曼荼羅の掛け軸の保存

今回の修理では、掛け軸の裏書き部分があります。

裏書きも時代を経た曼荼羅の歴史でもあり、元のように貼り戻しています。

従来のように通常細く巻くことで、再び横折れの損傷が出やすいと判断し、太巻き添え棒で大きく巻いて保存することに変更しました。

何百年間残ってきた曼荼羅は見た目以上に劣化があります。

以後長期に亘って残す場合は、太巻き芯が欠かせません。

桐箱を新調する際は、修理の記録を箱に書く良い機会になります。

 

参考価格

作品の損傷度・大きさ・表装材料等により、価格は異なります。別途保存箱が加わる場合があります。

曼荼羅修理費  損傷度 ★★  20,000円  

掛け軸表装費   仏表装 上品 80,000円 

合計費用   100,000円

 

修理例2 日蓮曼荼羅 掛け軸 その2

撮影環境や出力画面により、実物と多少の色合いの変化があります。

 

 

 

曼荼羅掛け軸の調査と修理方針

【曼荼羅の寸法】 タテ 33㎝ ヨコ 16㎝
【曼荼羅の状態】 損傷に加えて、経年の汚れから文字が見えづらい。
【掛け軸の寸法】 タテ 95㎝ ヨコ 32㎝
【掛け軸の状態】 紙による掛け軸故の、破れ。
【修理方針】 曼荼羅表面に経年の煤の様なもので文字が見えにくいので、洗浄を繰り返して回復を試みます。
虫穴と破れ等の損傷は改善の模様。文字の裁断は、保護のため和紙を付け足します。

主な修理作業

剥落止め

この後に洗浄を行いますので、膠で文字に塗布して強化します。
文字全部に塗布します。

 

 

 

洗浄

表面の堆積した煤等とみられる汚れを水のみで洗浄します。漬け置き洗浄は、行いません。
大量の水分は、古い和紙に書かれた曼荼羅に、ダメージを与える場合があります。
今回はサクションテーブルという機械を使用しました。水に溶けた酸化物質等を下から吸引します。
また薬品漂白は、とても奇麗になりますが、和紙繊維にダメージを与えるので一切使用しません。
結果は、文字が見えやすくなり酸化物質もかなり落ちたと想像します。

裏打ちと欠損の補填

高品質な和紙で、裏打ちを行い曼荼羅自体を裏面から保護します。

ご本尊の修理後

掛け軸表装する前の状態で、裏打ち作業後の画像です。
前回の修理時に、両側の文字が少し裁断されていましたので、調整しました。 

 

掛け軸に表装する時は、余白を付けて掛け軸に仕立てていきます。
文字切れは、古い修理を繰り返した曼荼羅によく見られます。 

 

端は傷みやすいので、補填するよりは切り落とした方が、簡単だと想像します。
今回の修理で、文字が切れた端の部分に、和紙を付け足して余白を持たせました.


 

 

掛け軸に表装

小さいご本尊ですので、掛け軸も小型になります。今回は、最高級の金襴裂で掛け軸に仕立てました。

参考価格

作品の損傷度・大きさ・表装材料等により、価格は異なります。別途保存箱が加わる場合があります。
曼荼羅修理費  損傷度 ★★  20,000円

掛け軸表装費 仏表装 特上品 150,000円   

合計費用           170,000円

 

修理例3 日蓮曼荼羅  額装 

 

曼荼羅掛け軸の調査と修理方針

【曼荼羅の寸法】 タテ 52㎝ ヨコ 31㎝
【曼荼羅の状態】 金泥による版木。かなり古い状態で、劣化と損傷で文字の欠損も多い。
【額縁の寸法】 タテ 91㎝ ヨコ 49㎝
【額縁の状態】 べニア板パネルに、掛け軸から切り取られた曼荼羅を簡易に貼り付けた状態。
【修理方針】 保存環境に欠けるパネルから取り外す。修理後に可能であれば、再び掛け軸に表装する。

主な修理作業

 

修理による変化の過程

 

掛け軸に表装

古い曼荼羅の雰囲気に合うように落ち着いた緞子裂と金襴裂で掛け軸に仕立てました。

参考価格

作品の損傷度・大きさ・表装材料等により、価格は異なります。別途保存箱が加わる場合があります。

曼荼羅修理費  損傷度 ★★★★★ 50,000円

掛け軸表装費 仏表装  80,000円     

合計費用   130,000円

 

 修理例4 名号 掛け軸

 撮影環境や出力画面により、実物と多少の色合いの変化があります。 神

 誉感霊・・・金戒光明寺四五世    真誉祐徹・・・浄土宗の僧


 


名号掛け軸の調査と修理方針

【名号の寸法】 中央本尊 タテ 99㎝ ヨコ 26 ㎝   脇本尊  タテ 57 ㎝  ヨコ 22 ㎝  

【名号の状態】 過去に修理されている痕や補筆もあります。横折れや虫損も見られます。         

【掛け軸の寸法】 中央本尊 タテ 152 ㎝ ヨコ  32㎝   脇本尊タテ 129㎝  ヨコ 28㎝    

【掛け軸の状態】 周りを金箔で表装しています。虫損や破損も多く、展示不能です。           

【修理方針】可能な限り金箔を再使用して、仏表装に仕立てる。


 主な修理作業への準備

 剥落止め

絵具部分を強化 膠(ニカワ)水溶液を絵具部分に塗布して強化します。

名号の修理作業

過去の補筆

脇本尊の一部に、字を書き足している部分があります。一見違和感もなく、補筆部分も分かりません。


掛け軸に表装

三幅対(三幅並べて)で仏表装に仕立てます。中央の本尊を両脇の本尊より、格上に仕立てます。

仕立て方に多少の違いがありますが、この場合の仕立ては以下です。

・中央本尊の中廻しと両脇本尊の一文字が同じ裂

・中央本尊の総縁と両脇本尊の中廻しが同じ裂

・両脇本尊の総縁は、格を下げて緞子の裂

 

 

参考価格

作品の損傷度・大きさ・表装材料等により、価格は異なります。三本分の掛け軸の合計になります。

名号修理費  損傷度 ★★★ 20,000~30,000円

掛け軸表装費 仏表装 上品 60,000~70,000円   

3幅分 合計費用  250,000円位

 

よくある質問

Q 修理期間はどの位かかりますか。

A 状態や大きさによりますが、約3か月位です。法要等で、お急ぎの場合はご相談願います。

それでも、乾燥期間を要しますので、早くても2か月位です。

 

Q 価格について

A 寺宝クラスの場合には、品格に合った材料や保存箱で製作します。

通常は参考価格位です。詳細は見積りになります。

 

Q ご本尊の修理後に掛け軸ではなく、額で飾りたいのですが。

A 可能です。詳細は見積りになります。

 

Q 多数所有していて、予算に限りがあります。

A ご予算に合わせて、見積りをいたします。但し材料等の変更がある場合があります。